編集プロダクションが激務って本当? “紙系”と“WEB系”で異なる労働環境の実情

編集プロダクションが激務って本当? “紙系”と“WEB系”で異なる労働環境の実情

クライアントから依頼を受けて、書籍などの制作を行う「編集プロダクション」。一般的に激務と言われている職種だが、実態はどうなっているのだろうか。今回は編集プロダクションをいくつかのタイプに分けて、本当に激務なのか労働環境の実情を紹介していく。

■“紙系”編集プロダクションの労働環境は激務?
まずはよく激務と言われる、紙の本や雑誌の制作を行う編集プロダクションの労働環境について見ていこう。主に出版社からの依頼を引き受ける“紙系”編集プロダクションでは、本の企画出しから紙面の編集、印刷所への入稿まで多岐に渡る業務を行っている。また出版社との契約内容によって書籍の一部分だけを担当したり、本作りを最初から最後まで担当する“丸受け”を行ったりと業務形態は様々。

そんな“紙系”編集プロダクションが激務だと言われる理由は、出版物の刊行スケジュールと関係している。編集プロダクションが本を作る際には企画段階から発売時期を決め、出版社の営業部門と連携しながら制作を進めるのが一般的。出版日が迫ってきたら編集者は印刷所のスケジュールを確保し、入稿の〆切に合わせて動いていく。刊行スケジュールを簡単に変えることはできないため、〆切は絶対厳守。編集プロダクションの編集者は必要があれば徹夜や泊まり込みという激務をこなしながら、編集作業を進めていくことになる。

編集プロダクションに限らず出版業界では入稿まで余裕をもって進行できるケースは稀で、大抵は〆切間近になると編集部全体が多忙になる模様。日頃から〆切に追われ、長時間の残業などの激務を行っている職場も多い。とくにマンガや小説などの作家と関わる編集プロダクションの場合には、スケジュールを管理することがさらに難しくなる。というのも自分の作業を予定通りに終わらせることができたとしても、作家から原稿が届かなければ作業を中断せざるを得ないため。もし〆切直前まで原稿が届かなかったとしても、原則的にスケジュールは変更できないので編集時間を何とか捻出しなければならない。

とはいえ“紙系”編集プロダクションがつねに激務とも限らないようで、中には刊行日の合間は定時で帰宅できる日が続くという編集プロダクションも。そして労働時間が不規則になる分、働き方や時間の使い方に融通が利くという編集プロダクションも多い。スケジュールに余裕がある時はお昼過ぎにゆっくり出社したり、仕事を早めに切り上げて帰ったりと自由な働き方ができるようだ。

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■“WEB系”編集プロダクションの労働環境は激務?
紙の本を制作する編集プロダクションに対して、主にWEB上のコンテンツを手がけるのが“WEB系”編集プロダクション。両者の違いは制作するコンテンツの性質に関わっている。書籍や雑誌はコンテンツ制作が終わった後に印刷という工程があるので、入稿スケジュールを厳密に守らなくてはならない。しかしWEBコンテンツの場合には制作が終わった後、「WordPress」などのソフトウェアを使用してアップロードするだけで公開できる。印刷所を介する必要がないので、紙媒体と比べて簡単に入稿スケジュールを変更できるのが特徴。

また〆切までのスパンが短いのも、“WEB系”編集プロダクションならではの特徴だと言える。紙媒体のコンテンツは企画が立ち上がってから、早くても半年以上の期間を経て出版されるもの。それに対してニュースサイトやニュースアプリで配信されるWEBコンテンツは情報の鮮度が重要なので、納品までの期間も圧倒的に短くなる。たとえば芸能系のニュースを元にした記事を作成する際には早くて当日、遅くても数日以内というスパンで納品を済ませることに。そのため“WEB系”の編集プロダクションでは“紙系”編集プロダクションと違って、入稿スケジュールに合わせて社内全体が残業を続けるような激務は考えにくい。案件が週をまたぐことも稀なので、週末の休日を返上して働く機会も少ないだろう。

ただし“WEB系”編集プロダクションの場合でも、〆切が存在しないわけではない。作成した記事のPV数を稼ぐためには情報の鮮度が損なわれないように、コンテンツの制作を進めなければならない。また元ネタがドラマやアニメの場合には、放送日に合わせて公開できるように記事を制作することも。基本的には公開スケジュールから逆算する形で〆切が設定されることが多くなっている。

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■編集プロダクションが激務になる理由
激務が生じる理由として、ほかにはどんなものが考えられるだろうか。激務となる原因の一つとしては、編集プロダクションとクライアントとの関係性が挙げられる。“紙系”でも“WEB系”でも、編集プロダクションはクライアントの下請けに当たるポジション。クライアント側の担当者からチェックを受け、内容の修正を依頼されることも少なくない。もし修正が必須で、作業の進み具合が遅れていた場合には休日を返上して激務をこなさなければならないこともあるだろう。

また“紙系”編集プロダクションでよく導入されている「裁量労働制」も、激務を引き起こす原因として知られている。「裁量労働制」とは実際に働いた時間ではなく、「○時間働いたことにする」という“みなし時間”によって労働時間を計算する仕組み。メリットもある制度だが、「限度を超えた長時間労働を強いられることがある」「残業代が発生しない」といった問題点が指摘されているようだ。

ただし激務が続く環境は出版業界内でも問題視されているようす。休日に出勤した場合には「代休」を申請できる制度を徹底したりと、会社によって様々な取り組みが行われている。

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