「推理小説・ミステリ・サスペンス」の違い

「推理小説・ミステリ・サスペンス」の違い

<推理>
 推理小説は、“事件や犯罪の発生”“合理的な解決”“解決までの経過”を描く作品である。小説以外にも漫画や映画、ゲームなどさまざまなメディアに展開される「ミステリ」というジャンルの元となった。

 世界初の推理小説は、エドガー・アラン・ポーの短編小説『モルグ街の殺人』、チャールズ・ディケンズの半推理・半犯罪小説『バーナビー・ラッジ』、ヴォルテールの『ザディグ』の一編『王妃の犬と国王の馬』、『カンタベリー物語』、『デカメロン』、聖書外典『ダニエル書補遺』の『ベルと竜』など、どこに端を発するか議論が尽きない。ただ1830年代、一世を風靡したニューゲート小説は、ニューゲート監獄の発行した犯罪の記録を元に書かれた犯罪小説で、後の近代推理小説が生まれる基盤を作ったのは確実である。

 推理小説に欠かせない要素として、権利と義務の体系が整い、司法制度や基本的人権がある程度確立した社会であることが挙げられる。同ジャンルにおいて警察組織の存在は大きい。何故ならば、法を手に犯罪者を捕らえる、新しい形のヒーローとなったからである。

 日本での「推理小説」という名称は、大脳生理学者兼小説家・木々高太郎(きぎ たかたろう)が、広義のミステリ叢書(そうしょ)を監修した際に、江戸川乱歩や水谷準に提案され命名したとされている。

<ミステリ>
 ミステリとは小説、漫画、テレビドラマ、ゲームなどの創作物におけるジャンルの一つ。作家や評論家で知られる仁賀克雄による定義では、“発端の不可思議性”“中途のサスペンス”“結末の意外性”が挙げられている。

 “発端の不可思議性”とは、最初に奇妙な事件や謎を提示して読者を引きつけることである。作者は事件や謎を論理的に解明。しかし同時に、作家は読者が推理を試みることを期待し、作者と読者の知恵比べが行われる。

 “中途のサスペンス”は、謎の提示と最終的な解明をつなぐ部分をいう。不安感を煽る事件を起こしたり、推理の手がかりを提供したりして、エンターテインメントとして読者の興味を引き続ける工夫がされる。

 “結末の意外性”は、上記2点を受けた最も重要な部分。読者の予想を裏切る形で、謎や真相の解明がされる結末のことである。

 辞書によっては、「ミステリ」と「推理小説」を同義に扱う場合もある。

<サスペンス>
 サスペンスとは、ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理や、そのような心理状態が続く様子を描いた作品。シリアス、スリラー、ホラー、アクションなどで、物語の中で重要な位置を占める。

 推理を楽しむ「ミステリー」や「推理小説」と混同されがちだが、すべてのサスペンスに推理が伴うとは限らない。そして、すべてのミステリーがサスペンスを利用しているわけでもない。語源は、「観客の心を宙吊りにする」という意味合いから、ズボンの“サスペンダー”とする説がある。

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